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大道寺知世&アサシン◆2lsK9hNTNE 部屋の中にミシンの音が響く。マスターは夜中の二時を過ぎても、まだ服の制作を続けていた。 いつもは遅くても十時半には寝ていることを考えると、だいぶ遅い。 いくら服を作るのに慣れているとはいえ、小学生の体力では結構な疲労になるだろう。 「そろそろ眠ったらどうですか、知世」 「いえ、どうしても朝までに完成させたいんです」 さっきからこの調子だ。疲れているのはアサシンから見てもわかりきっているのに、休もうとしない。 「あなたに体調を崩されたら、私が迷惑するんですが」 「心配してくださってありがとうございます、アサシンくん。でも大丈夫ですわ」 「人の話を聞いているんですが?」 そう言っても知世はニッコリと笑みを返すだけだった。なんとなく目をそらす。やりにくい娘だ。 アサシンは表向き子供として生活していたので、知世と同じくらいの歳の少女と接することも多かったが、こんな相手は初めてだった。 思えば初めてあったときから変わった娘だった。 突然、本来の記憶を取り度戻し、人を超えた力を持つサーヴァントと相対する。 大人でも混乱するだろう状況で、最初に彼女が口にした疑問は「聖杯戦争が終わったら街の人達はどうなるのか」だった。 理不尽に戦いの渦中へ引き込まれたことへの怒りでもなく、今までの日常が偽物だったことへの悲しみでもない。聖杯に作られただけの存在であるNPCの心配。 元いた場所に帰らず、ここでの生活を続けたいのならその気持もわかる。 しかし彼女は本来の居場所への帰還を望んでいる。NPCの心配をしたのは純粋の彼らの身を案じてだ。 そして今もNPCの友達のためにプレゼントを作っている。明日――もう今日だが――の誕生日に合わせるために寝る間を惜しんで。 「そこまで尽くす必要があるのですか?」 思わず漏れた疑問だった。 作業に集中しているのか知世からの返事はない。それでも無視するような娘でないのはわかっている。 「あなたがNPCに情を持ち、本物と同様に扱っているはわかっています。 しかし所詮は聖杯戦争が終わるまでの関係ですよ」 聖杯戦争が終わったときNPCがどうなるかはアサシンにもわからない。 だが知世が元いた場所に帰るのなら、どっちにせよそういうことになる。 「だからこそですわ。会えなくなるから、ちゃんと渡したいんです」 悲しそうに――しかし力強くそう言った。 やはり変わっている。NPCとは無理でも、元になった本物とはいつでも会えるだろうに。 知世は表情を明るくし、「それに」と続けた。 「尽くしてるわけではありませんわ。わたしはただ好きな人が喜んでくれれば、それだけで嬉しいんです」 優しい声だ。本当に心の底から相手の喜びを、幸せを願っているのだろう。 「羨ましいですね」 静かに呟く。その音はミシンの騒音に消えた。 アサシンにも喜ばせたい相手がいる。しかしその相手が喜んでも、今の自分が嬉しいかはわからない。 かつてアサシンには二つの名前があった。 一つは『プライド』。自分を生み出した『父』の望みを叶えるため、忠実に動く人造人間(ホムンクルス) もう一つは『セリム・ブラッドレイ』。親思いで心優しいただの少年。 昔はプライドこそが本来の自分であり、セリム・ブラッドレイはただの仮面に過ぎなかった。 『父』の喜びが自分の喜びであり、『父』に尽くすことが生きる理由。『父』ために数えきれないほどの人間を殺し、欺き、利用して、そのことになんの疑問を反感も抱かなかった。 しかしエドワード・エルリックとの戦いでホムンクルスとしての力と記憶を失い、セリム・ブラッドレイとして育てられた。 人間の子供と同じように道徳を学び、愛情を学び、命の重さを学んだ。 『セリム・ブラッドレイ』はたとえ聖杯戦争の最中だろうと人を殺したくない。相手が巻き込まれただけの一般人ならなおさらだ だが『セリム・ブラッドレイ』はサーヴァントとなったことで、『プライド』としての記憶と力を全て取り戻した。 『プライド』にとっては『父』こそが他の全てに勝る絶対の存在だ。 何を犠牲にしてでも聖杯を手に入れて、『父』を蘇らせることを望んでいる。 アサシンの中でずっと相反する二つの感情がせめぎ合っている。 知世に名前を聞かれたとき、アサシンはクラス名しか答えなかった。 真名がマスターから漏れるのを危惧してと言ったが、本当はわからなかったのだ。自分がセリムなのか、プライドなのか。 ふと自分のマスターならどうなのだろうと思った。好きな人の喜びが自分にとって容認し難いものとなったとき、彼女はどうするのだろう。 無論実際に聞くわけにはいかないが、なんとなく視線を向ける。知世はいつの間にか椅子によりかかり眠っていた。服は完成しているようだった。 アサシンは嘆息し、しょうがないからベッドに運んだ。マスターが風を引いたせいで負けたなんてなったら、笑い話にもならない。 【クラス】アサシン 【真名】プライドあるいはセリム・ブラッドレイ@鋼の錬金術師 【属性】中立・中庸 【パラメーター】 筋力:E 耐久:C 敏捷:E 魔力:C 幸運:B 宝具:A 【クラススキル】 気配遮断:D サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。 【保有スキル】 人造人間(ホムンクルス):- 『賢者の石』を核に作られた人間であることを表す。 錬金術:B 物質を分解し再構築する力。 錬成陣を描き、物質に触れることで、その物質を別の構成や形の物質に変えることができる。 『等価交換の原則』によって一の質量の物からは一の質量の物しか、水の性質の物からは水の性質の物しか作れない。 アサシンの場合、人体と爆発物に関する錬成が得意。 嗅覚:C 人並み外れた嗅覚を持っている。 相手が風上に立っている場合、確率で気配遮断を無効化する。 空腹:E 常に空腹感があるが我慢できないほどではない。 何か食べればしばらく収まる。 【宝具】 『賢者の石』 ランク:A 種別:-宝具 レンジ:- 行きた人間の魂を凝縮して作られた高密度のエネルギー体。アサシンの核。 アサシンの肉体が損壊しても、エネルギーの続く限り無限に再生する。 『完全な物質』とされ、肉体よりも遙かに高い強度を持っている。 石のエネルギーを使い、錬金術を強化することもできる。 ただしアサシンが錬金術を使った場合、石の力を制御しきれず、肉体が形を保つのがやっとのレベルにまで損壊する。 『小人の影(ホムンクルスシャドウ)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:100人 無数の目と口がついた影。 形を自在に変えられ、刃の形にして切り裂いたり、手の形にして掴んだりもできるが、本体から切り離すことはできない。 影で相手を取り込むことで賢者の石のエネルギーを補充でき、さらに相手の知識や能力を得られる。ただしアサシンに使える素質が全くない能力は得られない。 光の強すぎる場所や逆に光の全くない空間では、作り出せない。 アサシンの本体であり、肉体が消滅しても、影と賢者の石を適合する肉体に移せば生存できる。 【人物背景】 心優しい少年、もしくは冷血非道なホムンクルス。 【サーヴァントとしての願い】 迷っている。 【方針】 とりあえず表向きは知世に合わせる。 【マスター】 大道寺知世@カードキャプターさくら(漫画) 【能力・技能】 コーラス部に所属しており、コンクールで何度も優勝するほどの歌唱力を持っている。 他にも料理、裁縫、ビデオ撮影などが得意。特に裁縫は完全にプロレベル。 家がお金持ち。 人の心の機微に敏い。 【マスターとしての願い】 自分の本来の居場所に帰る。 聖杯戦争が終わったときに街の人が消えるのならなんとかしたい。 【人物背景】 友枝小学校に通う小学四年生。 友達の木之本桜のことが、さくらが知世を好きなのとは違う意味で好き。 クロウカードを集めるさくらに、自作を衣装を着せてビデオ撮影している。 好きな人が自分を好きになってくれなくても、その人が幸せなら幸せという考えを持っている。 【方針】 帰る方法を探す。 BACK NEXT -009 桂たま&アサシン 投下順 -007 山田なぎさ&アサシン -009 桂たま&アサシン 時系列順 -007 山田なぎさ&アサシン BACK 登場キャラ NEXT Happy Birthday! 大道寺知世&アサシン(プライド(セリム・ブラッドレイ)) 000 前夜祭 004 遅い朝
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メイド・アサシン imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (メイド・アサシン.jpg) タイプ:ヒューマン LV:1 (MAX:50) HP: (MAX:) 攻撃力: (MAX:) 回復力: (MAX:) スキル:キスオブヴァンパイア敵モンスターに♥の攻撃力×10ダメージ リーダースキル:なし 進化先:メイド・アサシン進化素材: 神に雇われし暗殺者。私腹を肥やすために天と地の戦いをあおる富豪を亡き者にするべく屋敷へ潜入した。 メイド・アサシン プリーステス・アサシン img_slideエラー 指定ページに画像ファイル(png,gif,jpg)が見つかりません。
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――赤い、花が咲く。 * * * 方舟の中に再現された架空の町並み。 多種多様な建物が混在する幻の町にとある日本風の屋敷があった。 その縁側で、それなりに広いがどこか閑散とした印象を与える庭園を眺めながら、"彼女"は酒を呷った。 「――――」 縁側の柱に背を預けるその女は、人の目を引く容姿をしていた。 梅花のような鮮やかな赤い髪、大きく着崩した着物……それらも勿論目を引くが、彼女と相対した時最も目を奪われるのはその顔――厳密に言うならば顔の左側に刻まれた大きな傷跡だろう。 元々の容姿が整っているだけに、左目を潰したその大きな傷跡は否が応でも印象に残る。 そして夜風を受け、右側の袖も不自然なほどに大きくはためいた。 徳利とお猪口を片手で扱うその所作を見れば、彼女が隻腕だということは用意に想像できるだろう。 隻腕隻眼の女――その名を梅喧という。 彼女は他に何をするでもなく、酒を飲みながら、ただ夜空を見上げている。 視線の先には月がある。 本物ではない、『方舟』の内部に映しだされた幻の月だ。 だが少なくとも見てくれや降り注ぐ月光の色は、自分の知る月と寸分も違わない。 「――ふむ、月見酒とは此度のマスターは風流なことよ」 座敷の奥から現れたのは青い陣羽織の美丈夫である。 身の丈ほどもある長刀を背負いながら、その動作には澱みがない。 「アサシン、お前も飲むか?」 「うむ、頂こう」 梅喧からお猪口を受けとるアサシン。 澄んだ液体が限界まで注がれたところで、くい、と飲み干す。 「――ああ、旨いな」 熱い液体を嚥下する感覚。 データで再現されたとは思えない、確かな熱がアサシンの喉を焼く。 舌を焼く辛味と全身に広がる熱を楽しむアサシンに対し、梅喧が口を開く。 「……それで、テメェはいいのか?」 「何が――というのは無粋だな。 私の望みは唯一つ、強者と死合うこと。 ……であればマスターの望みはむしろこちらにとっても望むところよ」 そう言ってアサシン――佐々木小次郎は涼やかな笑みを浮かべる。 今回の聖杯戦争では山門による縛りもない。 細かい策を弄するあの女狐もいない。 心ゆくまで戦いに興じれるというものだ。 一方でマスターである梅喧も策を弄するのは苦手だ。 聖杯戦争だの何だのと言ってはいるが、結局のところ結論は同じ。 最後の一組になるまで戦い抜けばいいのだ。 やっと掴んだ"あの男"に辿り着くための道。 この好機を何としても逃す訳にはいかない。 たとえどんな相手が目の前に立ちふさがろうと、だ。 再び空を見上げればそこには変わらず、煌々と輝く月がある。 本物よりも澱みのないかも知れない月光の下で、しばしの間、主従は酒を酌み交わす そして――徳利から最後の酒が消える。 「――行くか」 「心得た」 そして二人は言葉少なに立ち上がり、屋敷を後にした。 赤と青、二人のサムライが街を行く。 彼らがこれから向かうは戦場(いくさば)。 その行先に咲くのは一輪の花。 屍山血河の中に咲く、血よりも赤い真紅の花。 【クラス】 アサシン 【真名】 佐々木小次郎@Fate/stay night 【パラメーター】 筋力 C 耐久 E 敏捷A+ 魔力 E 幸運 A 宝具? 【属性】 中立・悪 【クラススキル】 気配遮断:D 自身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。 「透化」スキルからの派生であり、厳密に言えばアサシンは気配遮断スキル自体は有していない。 【保有スキル】 心眼(偽):A 直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。 視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。 透過:B+ 明鏡止水の心得。精神干渉を無効化する精神防御。 宗和の心得:B 同じ相手に何度同じ技を使用しても命中精度が下がらない特殊な技法。攻撃を見切られなくなる。 燕返し 対人魔剣。最大補足・1人。 全く同時に3つの斬撃が襲い掛かる回避不可能の必殺剣。 三連続ではなく三つ同時に存在する斬撃であり、魔法の一つである多重次元屈折現象を実現している。 愚直なまでにただ一つのことを繰り返した男がたどり着いた剣技の境地。 【宝具】 なし。 【weapon】 備前長船 刃渡り3尺(90cm)全長5尺(150cm)の長剣。 物干し竿とも呼ばれるアサシンの愛刀。 【人物背景】 冬木市で起こった第五次聖杯戦争にて、キャスターが召喚したアサシン。 本来なら冬木においてアサシンは山の翁と呼ばれるある英霊のみが該当するはずであったが、 サーヴァントがサーヴァントを呼ぶというイレギュラーな召喚を行ったため、召喚された侍。 その技量は高く、(キャスターのサポートがあったとはいえ)剣技のみで各サーヴァントと対決し、互角に戦った。 ……実は佐々木小次郎本人ではなく、佐々木小次郎を演じるにふさわしい技量を持った無銘の剣士。 剣を振るだけで魔法の域に達した魔人。 花鳥風月を愛でる伊達男。 【サーヴァントとしての願い】 心ゆくまで戦う。 【基本戦術、方針、運用法】 クロスレンジであればかなりの技量を持つが、遠距離攻撃や宝具によるブッパ等には弱い。 マスターの戦闘能力が高いのでマスターとサーヴァントを同時襲撃するのも一つの手か。 【マスター】 梅喧@ギルティギアXX 【参加方法】 謎のギア"ゴフェル"と接触した。 【マスターとしての願い】 "あの男"の行方を探す。 【weapon】 日本刀 無骨な日本刀。無銘だがかなり丈夫。 暗器 全身に暗器を仕込んでおり、剣技と組み合わせて発動する。 【能力・技能】 戦闘技能 隻腕隻眼ながら高い戦闘能力を持つ。 が、"軍事レベルの脅威には成り得ない"、"目的は復讐のためコントロールは容易"などの理由から危険度は低めに設定されている。 【人物背景】 男勝りで生粋の格闘家であり、喧嘩っ早く人の話をあまりを聞かない。 自身の故郷を滅ぼし、自身の左目と右腕を奪った"あの男"を追っている。 時系列的には本格参戦より前の模様。 【方針】 優勝狙い。
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俺達に 任せれば 仕留めてやるぜ 小さな刃 脅威の始まり 俺達が 見せるのは 一瞬の悲劇 鏡の世界 狂気の生命 息潜め 背後に 忍び寄る お前は死をそこに連れているのだ 命乞い 怯えも できぬまま 近づく死に気づく間もなく終わる そう 俺達 闇夜に君臨する黒影 黒影 非情のアサシン 次に目を 開けたとき お前が見るのは 迫りくる地面 眠りへの恐怖 俺たちを 見せはしない 風吹くように 瞬くその間に 制裁は下る 血が暴れ 釣り針 貫けば 理解もできぬまま悶え死ぬのだ 加速する 身にもがき 凍りつけ 最期は醜い顔晒し終わる そう 俺達 闇夜に君臨する黒影 黒影 非情のアサシン 闇夜に君臨する黒影 非情のアサシン
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柳生九兵衛&アサシン ◆RzdEBf96bU ―強くなれ九兵衛 お前は男だ 父上やおじい様が僕を守るためだと知りながら、どこかで恨んでいた ―私 九ちゃんの左目になる 妙ちゃんの心を知っていたのに僕は目を背けていた ―みんな 自分の護りたいもの護ろうとしただけ …それだけだ 僕だけが妙ちゃんを守れると思い込んでいた 僕が皆に守られていることにも気づかずに 初めはあこがれだった。同じ女の子なのに強く生きていられる君に。 でも、その笑顔の裏に隠れるものを知って護りたいと思った。 だけど、何一つ護れていなかった。 護るどころか、君に勝手な重荷まで背負わせてしまって。 僕は…弱い。 ふと頬に一滴の涙が落ちた。 見上げると妙ちゃんが泣いていた。 僕のことをまだ親友だと言ってくれた。 男も女も関係ない。僕は僕だと言ってくれた。 君の気持ちを見て見ぬふりをした僕なんかを。 君の変わらない優しさに、堪えきれず涙が毀れそうになる。 今まで男であり続けるために堪え続けてきた涙が。 「妙ちゃん、…ごめ―――」 突然視界が歪んだ。 誰の声でもない少女の笑い声が聞こえる。 深く昏い処に意識が引きずり込まれる。 だめだ。まだ君に、謝れていないのに。 必死に手を君に伸ばそうとする。 だけどその手は届かなかった。 こんなに近くに君がいてくれたのに。 「―――九ちゃん?」 妙は先まで腕の中にいた少女を呼びかけた。 腕に残された温もりが偽りかのように、少女は世界からいなくなっていた。 ▽ 凛とした静寂に包まれた道場、一人少女の木刀が風を切る音のみが静寂に波紋を立てる。 木刀を振るたびに、少女の結んだ髪が左右に揺れる。 「随分と熱心なことね、九兵衛。」 「…アサシンか」 道場内に突然として新たな少女が現れた。 見ると対照的な姿の二人である。 九兵衛と呼ばれた眼帯の少女は男装に身を包み、女であるということを隠そうと見える。 対してアサシンの少女は、ミニスカートに足を包み女であることを前面に出した衣装である。女であることを武器にしている証拠である。 「別に熱心じゃないよ。ただ、僕はこの聖杯戦争で何をすればいいのか…わからない。 だからいつものように剣に励んでいるだけだ」 「ふうん、何か願い事とかはないの?」 「願いか…。別に聖杯に掛けるような願いは持っていない。ただ僕はみんなのところに帰りたい。 帰って妙ちゃんや新八君、父上、おじい様、みんなに…謝りたい」 九兵衛は俯きながら道場の片隅に腰を下ろし、アサシンもそのそばに座った。 「でも、怖いんだ。僕のわがままのせいで、父上やおじい様の心づかいを踏みにじって、 新八君の気持ちも下らないと言い捨てた僕が、例え帰えれても皆が赦してくれるのか…」 俯いて震える九兵衛を、アサシンは静かに頭を撫でた。 九兵衛は顔を上げアサシンの方へと顔を向けた。 まるで自分の姉であるかのように、とても優しい顔で見ていてくれた。 「大丈夫よ。アタシだっていろいろと間違ったり人をだましたりしてきた。だけど、そんなアタシにも赦してくれる人がいた。 あなたを今まで守ってきた人だもの、きっと許してくれるはずだわ」 「アサシン…それでも、僕は…」 「…そうね、あなたの恐れはあなたのものだもの。最後に乗り越えるのはあなたしかいない。 …でも、あなたが自分の弱さを、恐怖を乗り越えられるまで…アタシはあなたの傍で戦うわ」 アサシンの言葉に、九兵衛はどこか羨ましさを感じていた。 同じ女の子でありながら、強く生きるアサシンに、妙の姿を重ねて。 ふと目の前が滲んでいることに九兵衛は気づいた。 何故か涙が毀れそうになっていた。 瞳を掌で覆い、涙をぬぐった。 今はまだ、泣くときじゃない。涙を流すのはすべてが終わった時だ。 涙を心の奥にしまい、九兵衛はアサシンに仄かに笑って見せた。 【クラス】 アサシン 【真名】 ブルー@ポケットモンスターSPECIAL 【属性】 混沌・中庸 【パラメータ】 筋力E 耐久C 敏捷D 魔力E 幸運B 宝具A 【クラス別スキル】 気配遮断:C(B) サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を断てば発見する事は難しい。 【保有スキル】 ポケモントレーナー:B ポケモンバトル、育成、捕獲、知識など、ポケモントレーナーとしての総合的な実力。 Bランクであれば、トップクラスのトレーナーであることを示す。 変装:C 変装の技術。手持ちポケモンのメタモンの力を利用して行う。 Cランクならば、人間であれば親しい者でも騙し通せるレベルで変装できる。 また変装中は気配遮断スキルが1ランク上昇する。 色仕掛け:E 自身の色香を利用して異性を誘惑する技術。 精神干渉耐性スキルで対処可能。 スリ:B 他者の物品を気づかれずに盗み取る技術。 化える者:A ポケモントレーナーとしての固有能力。 ポケモンの進化について、高い知識を有する。 Aランクならば、ポケモンの進化のタイミングの察知、初見のポケモンでも進化条件が推測可能のレベルである。 【宝具】 『今より化われ、獣たち(ポケットモンスター)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 #65374;30 最大補足: #65293; ブルーと共に戦ってきた手持ちポケモンたちが宝具と化した。 それぞれがEランク相当の気配遮断スキルを有している。 自らが収まっているモンスターボールがアサシンとのパスとなっており、これが破壊されると パスが途切れて、消滅する。 手持ちポケモンは、以下の6匹である。 ぷりり(プクリン♀) 特性:メロメロボディ カメちゃん(カメックス♂) 特性:げきりゅう メタちゃん(メタモン) 特性:じゅうなん ピッくん(ピクシー♂) 特性:メロメロボディ ニドちゃん(ニドクイン♀) 特性:メロメロボディ ブルー(グランブル♂) 特性:はやあし 『水勢の激流(ハイドロカノン)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:20 最大補足:80 キワメ婆との特訓でアサシンとカメックスが習得した水タイプの究極技。 激流のような水の砲撃を放ち、攻撃する。 使用後一ターンカメックスは技の使用の反動により動けなくなる。 『弱さを乗り越えて、三翼よ羽ばたけ(サ・ファイ・ザー)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 #65374;30 最大補足: #65293; アサシンが幼少時代、ホウオウにさらわれた時の弱さと恐怖を克服したことから得た宝具。 伝説の鳥ポケモン、サンダー、ファイヤー、フリーザーの3匹を召喚する。 通常のポケモン召喚よりも魔力消費は格段に高くなっている。 【人物背景】 図鑑所有者の一人である少女。ちゃっかりとした性格で、女であることも時には武器にする。 幼少期仮面の男にホウオウを利用して連れ去られ、その時の恐怖から鳥ポケモン恐怖症となる。 その後、シルバーと共に仮面の男の元から脱出する。 脱出後は、オーキド博士からゼニガメを盗む、レッドに偽アイテムを売りつけるなどの悪事を働いていたが、 ポケモンリーグにて自分の孤独、レッドやグリーンへの羨望を吐露し、オーキド博士に赦してもらい、第3の図鑑所有者となる。 第2章では、四天王に対抗するための力にイエローを見出し、彼女をサポートする。 第3章では、仮面の男との因縁を清算するために闘いに挑む。 ホウオウを操るカリンとイツキの前にトラウマに呑まれかけるが、シルバーの思いを受け止め弱さを乗り越える。 第5章では生き別れの両親を再開直前ロケット団にさらわれ、ショックに打ちのめされるが、自身の運命の決着がため戦いを決意する。 しかしサキのポケモンの攻撃により仲間たちと共に石化する。 第6章で、エメラルドの願いにより石化を解かれ、図鑑所有者10人でガイルとの決戦に挑む。 【weapon】 ポケモン図鑑 盗聴器や発信機、改造シルフスコープなどの発明品 【サーヴァントとしての願い】 九兵衛が弱さを乗り越えられるまで戦う 【マスター】 柳生九兵衛@銀魂 【マスターとしての願い】 元の世界に帰って皆に謝りたい 【weapon】 無名の日本刀 【能力・技能】 神速の剣の使い手 【人物背景】 左目に眼帯をした柳生家次期当主にして、柳生家始まって以来の天才ともいわれるほどの剣の達人。 生まれた時母親が死に、父が「後妻を迎えて九兵衛の居場所がなくなってしまわないように」と考えてあえて男として育て上げた。 女の子でありながら強く生きる妙の姿に憧れ、借金取りから妙を守るために左目を失う。 幼少のころの結婚の約束を果たすといい、妙を柳生家に嫁がせようとするが万事屋と真選組との対決で敗北。 敗北後、妙の真意を聞いて互いに涙を流しながら和解する。 その後は本人はいたって真面目だが大ボケをかますクールボケキャラになった。 キャラ被りしているとして桂からはライバル視されている。 普段は男装をしているが、ゴスロリが似合う美少女。 男に触れられるのが嫌いで、ちょっとでも触れられるとブン投げてしまう。
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│ステータス│入手方法|詳細情報|性能|性能比較│その他│コメント│ ひみつ会社 アサシン #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (e1580.png) No.1580 礼装名 ひみつ会社 アサシン 初期 最大 Rare 3 LV 1 60 Cost 5 HP 0 0 タイプ イベント期間限定/イベントボーナス ATK 200 1000 自身のQuickカード性能をアップ 2% 3% &NP獲得量をアップ 3% 5% &毎ターンスター獲得状態を付与 1個 2個 スペースポテトのドロップ獲得数を増やす【『バトル・イン・ニューヨーク2022』イベント期間限定】 1個 2個 詳細情報 イラストレーター 赤岸K 解説 情報収集やマーケティングを行う、 元嘱託暗殺系ヴィラン会社。 社長の酔狂に敏腕課長と有能秘書の活躍が光る。 電子の海に沈みかけた歌い手Pも戻ってきたぞ。 辞表を出したお静(現ポイズンキス)は、 たまに外注として業務を手伝っているようだ。 入手方法 聖晶石召喚 バトル・イン・ニューヨーク 2022ピックアップ召喚(2022年3月16日(水) 18 00~3月30日(水) 12 59まで) 性能 コメント 名前 すべてのコメントを見る
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【名前】 サグイルブラザーズ 【読み方】 さぐいるぶらざーず 【声】 木内秀信優希比呂 【登場作品】 動物戦隊ジュウオウジャー 【登場話】 第37話「天空の王者」第38話「空高く、翼舞う」 【所属】 デスガリアン 【分類】 プレイヤー 【対応機種】 シンクローブグルーブレード 【ジャンル】 縄跳びゲーム 【所属チーム】 アザルド 【無機物モチーフ】 不明 【名前の由来】 不明 【詳細】 「チームアザルド」に属するプレイヤー。 兄弟でピッタリ息が合った攻撃が得意。双子。 2本のロープ(シンクロープ)を縄跳びのように操って、避けきれなかった獲物を強力な電撃で痛めつける「YO!YO!YO!YO!」が得意技。 実は兄弟を同時に倒さない限り、生き残った方の「ワンモアブラザーダンス」で片方を復活させられる。 メーバと同様のジェットパックを使い飛行できる。 ストリートパフォーマーのような風貌、二人組で行動。 街中に現れ、シンクロープを張って街路樹や街灯を破壊しつつ人間を追い回していたところを再会したラリーを置いて駆け付けたジュウオウジャーと交戦。 韻を踏みながら複数のメーバを召喚、ジュウオウジャーが戦っている隙にシンクロープでジュウオウジャーを真っ二つにしようと突進。 すんでのところでしゃがまれて躱されるものの(メーバは全員巻き込まれる。)、ロープの間にジュウオウジャー6人を閉じ込めてすかさずダブルダッチ戦法を発動。 ジュウオウジャーもシンクロープを楽々飛び越えていたが、徐々にシンクロープを回すスピードは上がり、ジュウオウザワールドが足を引っ掛けて転倒、そのままシンクロープがジュウオウイーグルの足に当たり負傷してしまう。 イーグルに手痛いダメージを与えた事を2人して喜んでいたが、咄嗟にホエールチェンジガンでチェンジしたジュウオウホエールが放った反撃の「ジュウオウファイナル」で、片割れが倒される。 倒されたはずの片割れと共にビルの屋上へ出現、ジュウオウジャーと再戦。 ナイフ投げのコンビネーションで相手を翻弄し、続いてダブルダッチ戦法を決めようとするが、フォローを貰ったジュウオウザワールド(クロコダイルフォーム)にチェンジ、張ったロープを掴まれ、ロープごと振り回されて床に叩き付けられる。 残りの5人が「ジュウオウシュート」を放った事で再び片割れが倒されたので、片割れはビルから飛び降り逃走。 ウルフフォームにチェンジしたジュウオウザワールドが先行して追跡、他のジュウオウジャーも付いて行ってサグイルの片割れを追い詰める。 倒された方はコンティニューメダルを投入されて再生巨大化する。 「1」~「3」が動物合体したジュウオウキングと交戦、ナイフ投げで苦しめるが、崖に埋まっていた新たなジュウオウキューブウエポンのキューブオクトパスが参戦、キューブオクトパスが武装したジュウオウキングオクトパスが誕生、ジュウオウキングオクトパスに追い詰められ、「オクトパス・ジュウオウ斬り」により敗退。 ジュウオウジャー3人が追っていた方の前に新たな片割れが出現、3人をナイフ投げで追い込む。 更に先に合流したイーグルもダメージを負った片足を攻撃して苦しめるが、その場にバドが登場、ジュウオウバードへ変身し交戦、野性開放したジュウオウバードの攻撃に追い込まれ、イーグライザーを使った「グライドフェザースラッシュ」によって倒される。 倒されたのを感じ取ったもう一方のサグイルはジュウオウジャーとの戦闘を中断して逃走。 再び2人になったサグイルブラザーズは再び街中に出現、これまでと同様にシンクロープを張り、街を破壊しつつ人間を追い回していたところを鳥男(バド)の過去をラリーから聞いたばかりのジュウオウジャー5人に見つかり再戦。 今度も韻を踏みつつメーバを召喚するが、ジュウオウザワールドが複数のメーバを対処、野性開放したジュウオウジャー4人と戦う。 コンビネーションを封じるのにコンビずつで両方を抑え込み、戦いの中でジュウオウゴリラが加勢、ジュウオウライオン、ジュウオウタイガーの放った斬撃をゴリラのパンチで纏めて飛ばす連携技で片方を倒す(通算5回目)。 もう片方のサグイルがジュウオウジャーの目の前で復活技「ワンモアブラザーズダンス」を披露。 2人に戻った上で背中の飛行ユニットを起動し、上空へ舞い上がってジュウオウジャーを爆撃、変身解除に追い込んでしまう。 そのまま倒そうとした時、風切大和についてきた形で今までの戦闘を見届けたバドが立ちはだかり、更に雄姿を見て大和も奮い立つ。 イーグル、バードと交戦、野性解放して飛行する相手と激しい空中戦を繰り広げるもイーグル、バードが協力して発生させた竜巻に巻き込まれて地面に墜落。 勢いのままにイーグライザーを手にしたイーグルとバードに追い詰められ、連携の「ライザースピニングスラッシュ」にて大ダメージを負い抱き合って同時に敗北(その際は「ブラザー~!」と発言している。)。 1体へと戻った後、コンティニューメダルを投入されて再生巨大化する。 ワイルドトウサイドデカキングと交戦、復活技で分裂して2人掛かりになって挑み掛かる。 シンクロープを張り、相手を周りのビルごと両断しようとするがワイルドトウサイドデカキングには効かず弾かれてしまい、そのまま、なす術もなく反撃され最期は2人で相手を挟んで立っていたところに「ジュウオウドデカダイナマイトストリーム」を同時に受け爆散した(その際は「いまだかつてないグルーヴが全身を駆け抜けるYO~!」と発言。)。 【余談】 声を演じる木内秀信氏、優希比呂氏はスーパー戦隊シリーズの怪人の声は初となる。
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【アサシンに関する情報交換のページです】 名前 コメント
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「ううん、涼しくて気持ちのいい夜だね」 冬木市の市街地、高層ビル群の一角、その屋上にて1つの影があった。 木訥な、悪し様に言えば特徴のない学生だった。 強いて特徴を言うならば、横に長く切れた細目と首からかけたマフラーくらいだろうか。 開いているのかどうかも怪しい眼は、夜の街並みを見下ろしながら、薄笑いを浮かべている。 「お前も予選を突破した魔術師か」 静かな夜に靴底とアスファルトが皹を入れる。 屋上へ通じる唯一の通路から、別の少年が光と共に現れる。 制服が同じ、ということはお互い同じ学校の生徒なのか。だが、その瞳は少年と異なり、強い意志に燃えている。 「……なんのことです?」 「とぼけるな。ここにいるということは、お前はもう記憶を取り戻したんだろう。 なら、やることは一つだ。サーヴァントを出せ。さもなくば……」 一方的に喋りながら、回路を戦闘用に切り替える少年に、彼は手を振って静止を求める。 「ちょ、ちょっと待ってください。記憶を取り戻したってなんのことですか? 僕は何も忘れていない。それにサーヴァントって何の話です? 僕はそんなもの見たことも……」 「セイバー、やれ」 少年が言の葉を放つが先か否や、月光に煌めいた一閃と共に、彼の首が夜に飛んだ。 その切っ先の終点には、実体化した少年のサーヴァント……セイバーの剣があった。 「よろしかったのですか? 見る限り、本当にマスターではなかったようですが」 剣を納めたセイバーが主を問う。しかし、そこには詰問するような調子はない。 「ああ。だが、疑わしい者を残す理由もない……軽蔑するかい、セイバー」 「いいえ。貴方がどれほどに聖杯を望んでいるかを私は知っている。 そして、私もまた聖杯を望む者。ならば私は貴方の剣となりましょう」 セイバーの応えに、少年はそっぽを向けた。僅かな感情の緩みを見られたくなかったからだ。 セイバーの問いはもっともだった。確かにその体からはマスターの証である令呪の気配がない。 それが事実だとすれば、彼はたまたま基本ルーチンから離れたNPCなのか。 ならば、これは少年の勘違いだ。剣を納めるべきは自分だし、もし自分の感情だけに従えるならそうしていた。 だが、今の少年は背中に大きなものを背負って、この方舟に来ている。 その勝利のためならば、あらゆる不安要素は排除しなければならなかった。 全ては、救済のために。猫の額程度もない小さな世界を守りたいため。 (それに……あのNPCの目……あれは、まるで……人を蟻か何かとしか思っていないような……) 「ひどいなあ、待ッてクれっていったじゃナい可」 その声に、少年達は振り向いた。月光の降り注ぐビルの屋上に、首のない肉体が立ち尽くしている。 「何で、死んでない」 「? そりゃそうだろう。NPCに厳密な死なんてないよ。 中核データが破損でもしないかぎり、ねえ」 「NPCの肉体データに、寄生していたというのかッ!」 「ウン、そりゃそうだ。せっかくこの年になって学生をやれるんだから、ちゃんとそれっぽい身体でやりたいダロ?」 手を大仰に広げた屍は、口ほどに物を言った。その意味に、少年は信じられないと首を振る。 こいつはつまり、突破できる予選を、ただの学園生活をギリギリまで楽しんでいたのだ。 「ダカラ、待ってくれっていったじゃないカ。今、本当の身体にするカラネ」 そう言って首のない彼の指が小気味よい音を鳴らす。 その瞬間、少年の踏みしめていた足場が崩れた。コンクリートであったはずの床は、 難読な文字をびっしりと書かれた呪符と散らばり、拡がっていく。 「ビルを1階分丸ごと偽装していたってのかッ!?」 「マスター、あれをッ!」 驚愕に震える少年に、セイバーが指を示す。偽装を解かれたビル、その本当の屋上の中心に、首のないもう一つの身体があった。 でっぷりと膨らみ、しかしみずみずしい筋肉に包まれた偉容だった。 「カ……ッ!」 首のない学生の胸が大きく膨らんでいく。胸骨肋骨、肺をぶち破って出てきたのは。 「ッカカカカカカカカッ!!!!!!!」 その真の身体に納められるべき、本当の首だった。 「私は今、卒業したネ!(しみったれた学園生活用ボディから) 社会派幽凄道士・馬吐呑(マー・トンツー)と呼んでもらっても構わないヨ!」 鉄の魔神めいて首と肉体が合身し、ただの肉の置物だったその身体に神経が通る。 しばしアドミナブルを隆起させて元の肉体を堪能していたが、それを見ていた少年はただ唖然とするほかなかった。 「……さて、お待たせして申し訳なイ。それじゃあ、相手してやるかネ、セイバー君ッ!!」 「な!?」 義体から戻したマフラーが馬の身体に巻き付きトレンチコートを形成する。 それが如何な魔術によるものか、少年には考えることができなかった。 マスターであるはずの男が、セイバーに突撃したのだ。 「ふふぅ、うふふふふふふううう」 「こ、こいつ! 骨に神秘を刻んでいるのかッ!!」 掌打、蹴撃、なぜか自在に動き襲いかかるマフラー。あらゆる変則的な攻撃にセイバーは防戦一方に追い立てられる。 通常、このようなことはあり得ない。 セイバーとてムーンセルに記録されるほどの猛者ではあるが、 この男の用いるのは中国拳法……功夫と呼ばれる物。西洋の技と東洋の技の噛み合わなさが、セイバーの攻めに転じられない理由だ。 だが、それだけではセイバーの剣を、神秘に守られた兵装をただの拳が防ぎ、打ち合うことができるはずがないのだ。 肉体そのものが、神秘の片鱗を宿していない限りは。 「それでも、サーヴァントとは言え英霊と渡り合うなんて……! 真逆、お前、死徒かッ!? そんな奴がなんでこの聖杯戦争にッ!?」 「西洋の保菌者みたいに言われるのは心外だな。 いやなに、ちょっと「向こう側」永い旅をしていたんだが、そこで物珍しい木を見つけテネ。 植林事業に手を出そうかと思った矢先にここに呼ばれたんだヨ」 セイバーと撃ち合いを繰り返しながら、馬はしみじみと思い返すように昔を思い返した。 逆さまに上っていく滝、フラタクル構造をした虹、鳥のような魚。 ちょっとしたアトラクションめいた世界を満喫していたのだが、そこで方舟の元となった木を見つけたのだった。 いや参った参った、と可々と笑う馬に少年は頬に冷や汗を垂らした。 馬鹿馬鹿しく笑ってはいるが、相手は紛れもなく死を纏った人外……死徒だ。 音に聞こえる二十七祖ほど、とまでは思わないが、マスターとしては破格すぎる。 なるほど、セイバーと打ち合えるのも無理はない。だが。 (感謝します。マスター、もう少しで、読み切れる!!) 少年の心憎いサポートに、セイバーは内心で感謝した。 そう、僅かにであるが、セイバー防戦一方から攻勢へと転じつつあったのだ。 如何に相手が死徒であり、相性の悪い東洋圏の技法を用いていたとしても、それでもセイバーは英霊だ。 どうやら長旅で相手の自慢の肉体は何割か消耗しているらしく、 初見の不利は、この撃ち合いで相手を見切ることでなくなりつつある。 あと1分もしない内に、天秤は、勝利はこちらに転がる。 ((この戦い―――我(僕)等の勝利だ!!) 「――――とか、そういうことを考えるあたりカネ」 酷薄な、嘲るような笑みを馬は浮かべた。 人間を超越した化外の瞳を隠すサングラスに写った像をセイバーは見入る。 セイバーの勝利を確信した少年の背中にはそれまで影もなかった男が一人立っていた。 「マス」 「や、本当に知らんかったんだヨ。一度も見たこともなかったしね。 ま、ずーっとワタシを見張っていたことはわかっていたけどネ」 「あ、あぁ……」 セイバーが振り向いて、馬が嘲ったその向こうに、鮮血が跳ねた。 少年の背中から胸に貫いた赤い刃が、華のように咲き誇る。 「タアアアアアアアアア!!!!!!!!!」 鬼神の如き速さで、セイバーは一太刀を繰り出すが、黒衣の男…… アサシンは素早く――もうこれには興味がない、というように――剣を少年から引き抜き、血溜まる海に少年を沈めながら飛び退いた。 マスターが窮地に陥っても助け船を出すこともなく、マスター暗殺の瞬間をねらっていたのだ。 「貴様ああああああ!!!!」 「ご満足いただけましたか、媛。それは重畳にございます」 吠えるセイバーの声など木の葉の落ちる音程度も感じない様子で、アサシンは虚空に向けて何かを呟く。 延びた黒髪の間から見える赤い瞳は淀んで血のように昏い。 セイバーはマスターを抱き抱えて呻いた。臓腑を吐き出さんばかりに後悔した。 なぜ気づかなかった。死徒の存在に目を奪われ、マスターを追いつめた程度で油断してしまっていた。 これは聖杯戦争だ。サーヴァントこそを何より警戒しなければならなかったのに。 「セ……セぃ、ァ……」 「ま、マスター! まだ意識がッ!!」 その後悔に神が気まぐれの善意を差し向けたか、少年は血を泡と吐きながら呻いた。 揺さぶろうとするサーヴァントの手を払い、そのまま右手を月に掲げる。 「さ、三度、重ェて、令呪に願…………」 「! 了解した、マスター。如何な命令とて、この剣にて叶えて見せよう!」 鬼気迫るマスターの表情に、セイバーは自分の愚かさを改めて呪った。 今すべきは自身を責めることでも、マスターを案じることでもない。この死地をなんとか突破することだ。 三度の令呪を切れば、どうなってしまうかはわからない。 だが、出し惜しみできる状況ではない。ならば、ここに乾坤一擲を賭す。 アサシンも死徒も、最低限の構えだけで積極的にこちらに向かってくる気配はない。 令呪三枚掛けのセイバー相手に太刀打ちは不可能と理解しているのだろう。 今は見逃してやる。だが、次こそはしない過ちはしないと誓い、剣をーーー 「あのアサシンの剣を奪え……! なんとしてもだ……ッ!!!」 意味が、わからなかった。あのアサシンの――今はもう背中に仕舞ってある――剣を奪うことに何の意味があるのか。 分からなさすぎて、セイバーはもう一度マスターの方を向いた。 血の抜けた青ざめた顔で、少年は目だけは爛々とさせている。 そこでセイバーは気づいた。気づいてしまった。マスターが、少年が見ていたのは自分ではない。 聖杯に注ぐべき願いでもない。帰りを待つ人達でもない。 もう、自分の心臓を貫いた、あの紅い刃しか見えていないのだ。 「う、うあああああああああ!!!!!!!!」 セイバーは慟哭と共に剣を振りかざした。 そこからのことは語るまでもない。 対魔力で令呪にあらがっても、令呪のまま逃げに徹するアサシンを追おうとも、 もはや彼らの聖杯戦争に先などないのだから。 「いや、手並みは拝見させてもらったヨ。アサシン」 霧散した魔力に手をかざしながら、馬呑吐は満足げな表情を浮かべた。 それは相手を倒したからというより、久しぶりに運動をしたら気持ちがよかったというたぐいの物だった。 「それで? ずーっとワタシを見張っていたのだろウ? 見ての通り、長旅で自慢のボディもクタクタネ。 フルチューンならともかく、撃ち合いにしても道術にしても、英霊相手ではちと分が悪い。 ここは共に戦っていくのが良いと思うが――どうかネ?」 「……私は、特に聖杯に捧ぐような大望などありませぬ。 マスターが望まれるのであれば、英雄相手にどれほど通じるかわかりませぬが、尽力させていただきましょう」 片方の拳をもう一方の掌で包み、礼を取りながらアサシンは謙虚に応じる。 自己をおくびにも出さないその様は、生粋の職業暗殺者に見えた。だが。 「ふぅむ。それはその背中に差した媛君の意向カネ?」 「――」 りん、と鈴が鳴る。その音が鳴り終わるより速く、アサシンの持つ紅の刃が馬の喉元に寄せられる。 (婁よ、こやつ――) 「ええ、聞こえておりますよ、媛君。なるほど、げに恐ろしき魅了の魔力。 これでは有象無象の者共はひとたまりもありますまい。私にその美貌効かぬとその美声聞こえしは、 どうやらマスターとてつながった経絡によるものかト。 間男が入ったようで恐縮ではありますが、野暮は致しませぬ故、どうか容赦願いたい」 (……ふん、妾を納めよ、婁。こいつも上物であるが、これは後回しじゃ。今は数が欲しい) 「……はッ」 嘘くさいほど慇懃な礼を取る馬に、媛……アサシンの宝具はアサシンに命じると、嘘のように殺気を納め、剣を戻した。 そう、このアサシンの主人はマスターなどではなく、この媛君。 一目その刃を見れば誰もが媛を求め殺し合う妖刀である。 故に、その願いもまた聖杯ではなく、媛ただそれのみ。媛の求める供物を献上するだけだ。 「ま、いいんじゃないかネ。願いはないと思っていたんだがこれも一期一会、 そろそろ住み慣れた惑星(ふるさと)の地を踏むのも一興。 ついでに麻倉屋サンに聖杯を持って行けば、いい商談もできそうだしネ」 アサシンの剣呑な意志を、人間にはよくあることとばかりに捨て置き、 馬はピクニックに行く前日のように夜空を見上げた。 いや、実際彼にとってはそうなのだ。どのような場所であろうとも、旅の途中。ただ己の我を貫くのみ。 「おい、凄い音がしたけど、何かあった――」 あまりの状況に特別ルーチンでやってきた警官NPCを、無言でアサシンが手刀で貫く。 くず折れた警官は、たちまちのうちに黄泉より還り立ち上がる。 死体が呻くより先に、馬が呪符を額に張り付けると、NPCはたちまち両腕を正面に直角につきたて、ぴょんぴょんと跳び始めた。 「ま、最初はゆっくりやろうじゃないカ。聖杯は逃げない。人生は永い。 愉しまなければ損ネ。か、カカカカ、カカカカカ――――――!!!」 NPCをキョンシーに変えながら、死人使い達は進む。 いつも通りに、何も変わらず。 結果的にこの世を、地獄にしながら。 【クラス】アサシン 【真名】婁震戒(ロー・チェンシー)@レッドドラゴン 【パラメーター】筋力D 耐久E- 敏捷B+ 魔力D 幸運C+ 宝具C 【属性】中立・悪 【クラススキル】 『気配遮断:A-』 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を絶てば探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 【保有スキル】 『黄爛武術(剣術):B(A)』 東の旭日、黄爛国に伝わる武術を扱うスキル。実質的にスキル:中国拳法と同等。 ただし、アサシンは剣技を得手としているため、剣装備時にはB→Aとなる。 『単独行動:B』 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクBならば、マスターを失っても二日は現界可能。 独立調査隊から何度も抜け出して暴れまわった逸話から。 『芸術審美:D+』 芸術作品、美術品への執着心。 芸能面における逸話を持つ宝具を目にした場合、ごく低い確率で真名を看破することができる。 特に刀剣関係に由来を持つ英霊であれば、確率が上昇する。 『軽身功:C+』 内力を操作することで、己の身を軽くし悪路を容易く突破する能力。 C+ならば準備さえすれば断崖絶壁すらも踏破可能。 【宝具】 『妖剣・七殺天凌(チーシャーティェンリー)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉 1人 アサシンが片時も離さず持つ『愛』刀。その剣に宿る意志は妖艶にして酷薄な媛君。 魅了の魔力を持っており、その刀身の輝きを目にし、囚われた者はこの妖剣を欲しがる衝動の奴隷となる。 命を食らう性質をもち、相手の防御力を無視して生命力へ直接ダメージを与えられる。 そして、その刀に殺された者の生命・魔力は余すことなく媛への供物と食い尽くされる。 『天凌府君、其我也(わくわくてんりょうランド)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大補足:1~50人 一度死し、復活したアサシンが手に入れた呪い。その手で殺した者を強制的に還り人……歩く屍へと変える。 そして、アサシンに直接殺されて蘇った屍に殺された者もまた蘇り、アサシンの支配下に置かれる。 ただし、蘇った者には狂化・Bが付与されるため精密な運用は不可能。 また、七殺天凌で殺したものも屍とすることはできない。(命を吸い尽くしてしまうため) アサシンは創り上げた屍の群れを国家『天凌』と定め、自らを『天凌府君』と名乗った。 『無二打(にのうちいらず)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人 アサシンの奥の手。武技の極意。 攻撃ダメージ発生時に、自身の生命力の一部を上乗せすることで追加ダメージを与える。 追加する量はアサシンの任意で決定。また、媛の合意さえあれば七殺天凌が喰らった生命力をこの宝具に乗せることができる。 【weapon】 機械左腕(サイボーグアーム・レフト) 当時の最高技術を持って創られた義手。アンカーリールが内蔵されている。 仮面 舞踏会用のただの仮面。死者の王・天凌府君としてふるまうときに装着する。 【人物背景】 世界を二分する大国、黄爛の宗教組織・八爪会に所属する武装僧侶(暗殺者)。 他者評価は「殺せるか否か」だけで、媛に吸わせる血としか見ていない。 視野の隅を「凝視」する特技を持ち、暗殺対象の必死の瞬間を狙い続けている。 一応国家の暗殺組織に所属するが、傅くのは媛だけであり、他人に従う気は皆無。 物語本編では媛の供物にするためだけに仲間を裏切りってもう一つの大国・ドナティアの要人を殺害し世界を緊張に叩き込んだ。 その結果、彼は一度死ぬが、世界の特殊なシステムにより還り人(平たく言うとゾンビ)になり復活。 舞台であるニル・カムイすべてを媛に捧ぐべく、死者の群れ『天凌』を率いてニル・カムイを地獄に叩き込んだ。 しかしその内心は媛への愛だけであり、媛に見捨てられることを何よりも恐れている。 【サーヴァントとしての願い】 聖杯戦争はどうでもいいので媛を愛する。愛する人が命を欲しがっているので当然捧げる。 【基本戦術、方針、運用法】 隠密行動からの暗殺一択。正面きっての戦闘では勝ち目はほとんどないため、如何に奇襲に持ち込むかが要になる。 NPC狩りで増やした天凌国民をスナック感覚で送り込んで、その混乱に乗ずるのも有効だろう。 【マスター】馬呑吐(マー・トンツー)@宵闇眩燈草紙 【参加方法】「向こう側」でぶらり旅をしていた際にゴフェルの木片を手に入れた。 【マスターとしての願い】情欲のままに旅の続きを。 これが終わったら聖杯を土産に「こちら側」に戻るのもいいかもしれないネ。 【weapon】 『強化調整肉体』 ヒヒイロカネ製骨格フレームに生きたまま腑分けした少年少女の筋をあしらったお手製のボディ。 ただし、向こう側での冒険で疲弊しており、完全なスペックは発揮できない。 『マフラー』 意のままに動いてあちらこちらを切り刻む。しかもドリルにもなる。 『呪符』 道術や身代わりに使う大量の符。どこに仕込んでいたか聞くのは野暮。 【能力・技能】 『真・幽棲道士』 死んで私に抗えるものはいないと豪語するほどの、僵尸(キョンシー)を操る死人使い。 吸精鬼であり長い時間を生きているため、符術・道術・功夫を高水準で修めており、 死体の数さえあればそれらを束ねて巨大傀儡にしたり、マフラーを武器にして戦うこともできる。 技術者としてのスキルも持ち合わせており、死体を改造して強化キョンシーを作成することもできる。 死人使いの特性上、相剋の関係から木気(雷)との相性が悪いが、肉体的基礎スペックを底上げすることで対処した。 もちろん銀やニンニクなど吸血鬼的弱点があるが、大体は克服しており「健康のために日光浴をする」レベル。 【人物背景】 大陸マフィアの用心棒。トレンチコートに帽子にグラサン付けたクラシックマフィア然としたデブ。 その傍ら、五行器という永久機関の完成を目論んでいた。 が、その過程で首から下を完全消滅させてしまい、もののついでとより強化された肉体製作のために アメリカ大陸の街一つを『向こう側』へ消滅させた。しかしその最後に自分も『向こう側』へ 吸い寄せられてしまい、抗おうかと思ったが、それもOKかと穴の向こうへ消えていった。 口調は余裕のある時は胡散臭い中国語(~アルネ)だが、マジギレしたりすると標準語になる。 長く生きたため本来なら仙人へ至れるが、「情動を捨てて何が生か!」と俗世を満喫している。 【方針】 本人は巻き込まれただけなので普段通り物見遊山。 普段通りなのでアサシンの求愛活動ついでにさくっと殺してキョンシー作ったりする。 倒すことはできないまでも初見ならば真向からでもサーヴァントと打ち合えるので、 自身(とキョンシー軍団)が囮となってサーヴァントをひきつけ、その隙にアサシンで必殺するのが有効。
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ここは吉良邸宅。 見れば庭で体操をしている時代錯誤な服装の眉目秀麗な男が一人。 彼を知らない者が見れば、彼を役者か何かと勘違いしてしまうだろう。 しかし、彼は普通の人間ではない。 「ん~今日はいい天気でござるな」 彼の名は佐々木小次郎。膨大な魔力を持つ主婦によって召喚されたアサシンのサーヴァントである。 「アサシン! アサシン! いないの!」 キャスターが自分を呼ぶ声が聞こえる。 「庭でござるよ」 アサシンは答えた。 「おはようでござる。キャスター殿。何か用であろうか?」 「私がさっき考えたギャグを聞きなさい」 「またTVの影響でござるか? 大体ですね、キャスター殿には聖杯戦争を勝ち抜くやる気が見ら」 キャスターの体に刻印された令呪が赤く光る。 「聞きなさい」 「聞きましょう」 あれ? 拙者は今なんて言おうとしたんだっけ…… 「いい? 一度しか言わないからよく聞きなさいよ。 アサシンが朝死んだ」 「……」 「つーギャグ…どう?」 キャスターが真剣な眼差しで見つめてくる。 ここは笑った方がいいのであろうな…… 「……ん~~!! なかなか愉快でござる。かなり大爆笑!」 「でしょ? 後でもっとジワっと来るのよ。気に入ったからってパクらないでよね」 盗むつもりなど毛頭ないが、この女狐の機嫌を損ねると、自分は消されてしまうので合わせる。 「ははは、それは残念至極でござる。後でアヌビスにも聞かせてやろうと思いましたのに」 「私も吉良様にご披露しようと思ったの。でもね、このギャグには一つだけ足りないものがあるのよ」 「一つだけ…? 何でござるか?」 嫌な予感がした。 「『リアリティ』よ。ギャグはリアリティこそがギャグに生命を吹き込むエネルギーであり リアリティこそがエンターテイメントなのよ」 「どこぞの漫画家と同じような事を言いますな……って何故呪文を唱えてうわなにをなされるやめ」 小次郎がそれ以上喋ることはもう無かった。 さよなら小次郎! また会う日まで! P.S その日、世界の時間が巻き戻った。